SNSでは、ときどき次のような会社アカウントを見かけます。
最初は積極的にフォローして、フォローバックによってフォロワーを増やす。そして、アカウントがある程度成長すると、それまでフォローしていた相手をまとめて解除する という運用です。
もちろん、フォローを整理すること自体が悪いわけではありません。アカウントの成長に伴い、発信する内容や届けたい相手が変わることもあります。
しかし、地域の人や企業を顧客とする地方企業の場合、その一斉解除は本当に効果的なのでしょうか。
フォロー数の見栄えと引き換えに、もっと大切なものを失っているかもしれません。
「フォローが少なく、フォロワーが多い=人気」というSNS特有の見え方
SNSには、フォローしている人数が少ないのに多くの人からフォローされていると、「何もしなくても人が集まる人気アカウント」に見える文化があります。
芸能人や有名ブランド、大手企業の公式アカウントには、実際にそのような形が多く見られます。そのため、フォロワー数に対してフォロー数が少ない状態を、影響力や権威のように捉える人もいるのでしょう。
ただし、大手企業がフォローを絞っているのには、別の理由もあります。
- 特定の企業や人物を支持していると誤解されないため
- 取引先を公平に扱うため
- 公式アカウントの行動を社内ルールで制限しているため
- 情報収集や交流は担当者用・別アカウントで行っているため
- 公式アカウントを発信専用のメディアとして設計しているため
つまり、大手企業の「フォローしない」は、目的に沿った運用方針である場合が多いのです。
アカウントが成長すれば、運用方針が変わることもある
会社の事業やアカウントの役割は、ずっと同じとは限りません。
もともとは地域との交流を目的にしていても、発信が全国に届くようになり、専門情報を届けるメディア型のアカウントへ変わっていくこともあります。その過程でフォロー方針を見直すのは、自然なことです。
一度フォローした相手を、永遠にフォローし続けなければならないわけでもありません。休眠アカウントや不審な営業アカウント、発信内容が大きく変わったアカウントなどを整理することも必要でしょう。
ただ、「運用方針を変えてフォローを整理すること」と、「フォローバックで人数を増やし、目的を達成したあとで一斉に解除すること」は、同じではありません。
運営側には「整理」でも、相手には「利用された」と映る
アカウントの運営側は、単に数字やタイムラインを整理したつもりかもしれません。
しかし、フォローバックした側から見ると、受け取り方は変わります。
「フォロワーを増やすために利用され、人数が集まったら外された」
そう感じる人がいても不思議ではありません。
大切なのは、解除した側の意図だけではなく、相手にどう伝わるかです。
会社アカウントの行動は、個人の好みではなく、その会社の姿勢として受け取られます。
地方では、SNSの関係が現実の関係につながっている
全国に向けて情報を発信するアカウントと、地域を主な商圏とする会社アカウントでは、SNSの役割が少し違います。
地方企業のSNSは、単なる宣伝媒体ではありません。地域の会社、お店、お客様、自治体、団体、イベント、知人などがゆるやかにつながる「地域の社交場」のような面があります。
SNSでつながっていた相手と、展示会や地域行事、商工会、仕事の現場で顔を合わせることもあります。直接の取引がなくても、共通の知人を通してつながっていることも珍しくありません。
そして地方では、企業の振る舞いを意外と多くの人が見ています。
- 地域の情報をよく共有している
- 他社や地域の活動にも反応している
- 自社の宣伝ばかりしている
- フォロワーを増やしたあと、地域のアカウントを外した
こうした印象は、数字には表れなくても静かに残ります。外した相手が、数年後のお客様や紹介者、協力先になる可能性もあります。
地域に応援されたいなら、地域を応援する姿勢も必要
地方企業がフォロー数を極端に減らしても、それだけで全国的な人気企業に見えるとは限りません。
むしろ運用によっては、次のような印象を与えてしまいます。
地域の人からは応援されたい。けれど、自分たちは地域の人を応援しない会社。
もちろん、フォローしているだけで関係性が築けるわけではありません。それでも、相互フォローや日々の反応は、「あなたの存在を認識しています」「地域の仲間として見ています」という小さな意思表示になります。
フォロー欄は単なる数字ではなく、その会社が誰に関心を持ち、どの地域や業界とつながっているかが見える場所でもあります。
フォロワー数は数字。「誰と関係を築いているか」は資産
会社のSNS運用では、フォロワー数が成果として分かりやすいため、つい数字ばかりを追いかけがちです。
しかし、地方企業にとって本当に価値があるのは、フォロワーが何人いるかだけではありません。
誰に会社を知ってもらえているか。誰と継続的に接点を持っているか。困ったときに思い出してもらえるか。誰かに紹介してもらえる関係ができているか。
こうした関係性は、すぐに売上へ結びつかなくても、時間をかけて会社の信用になります。
フォロワー数は数字。
誰と関係を築いているかは、会社の資産です。
まとめ:フォロー解除が、自社の目的に合っているかを考える
フォローを整理することが、すべて悪いわけではありません。アカウントが成長し、地域交流型から全国向けのメディア型へ変わるなら、フォロー方針が変化することもあるでしょう。
ただし、今後も地域の人や企業を主な顧客とするなら、フォローバックで増やした相手を見栄えのために一斉解除することは、あまり割に合わない運用だと思います。
フォロー数を少なく見せることで得られる「人気アカウントらしさ」と、地域の相手に残す小さな違和感。その二つを比べたとき、地方企業が大切にすべきものはどちらでしょうか。
SNSも、結局は人と人、会社と地域との関係です。
数字を整える前に、そのフォローの向こう側にいる相手との関係を考えたいものです。
地域に応援されたいなら、地域を応援する姿勢も必要です。
SNSのフォローも、その姿勢が表れる小さな行動の一つではないでしょうか。
